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甲状腺クリーゼ① [ICU/CCU]

心不全の患者さんを看ていると甲状腺クリーゼを基礎疾患として
入院してくる方がいます。

もちろん、心不全管理をやっていくのですが、
心不全管理に合わせて、甲状腺クリーゼの治療も並行して行っていきます。

しかし、循環器をメインにやってきたものとしては
ホルモンの疾患である甲状腺クリーゼをしっかりと把握できていないため、
簡単におさらいをしていきたいと思います。

◎甲状腺
 前頸部に位置する臓器。右葉と左葉からなり輪状軟骨部位で狭部で結合。
 甲状腺ホルモン(T3,T4)を放出する。
 甲状腺ホルモンはTSH(甲状腺刺激ホルモン)により合成分泌を促進される。

甲状腺の部位 名称入り 1.jpg

視床下部 下垂体前葉 甲状腺.jpg

◎甲状腺ホルモンの作用
 ①熱産生:ほとんどの組織(脾、リンパ節、脳、睾丸、子宮、下垂体前葉以外)で酸素消費量が増加
 ②成長/成熟:正常な発育に必須
 ③自律神経:βアドレナリン受容体の増加
 ④タンパク質代謝
 ⑤糖代謝:消化器での党の吸収を促進
 ⑥脂質代謝:機能低下でコレステロール、中性脂肪の上昇
 ⑦水・電解質代謝:ANPの分泌を促進
 ⑧心臓脈管系:陽性変力作用、陽性変時作用の増強。末梢血管抵抗の減少
 ⑨皮膚への作用
(標準生理学 第6版より)

このような甲状腺ホルモンを放出する甲状腺ですが、甲状腺クリーゼになるとは一体どういうことなのでしょうか。

◎甲状腺クリーゼ
・定義はこのように↓なっています
 甲状腺基礎疾患(未治療orコントロール不良)+何らかのストレス
              [↓]
 甲状腺ホルモン作用過剰+複数臓器の機能不全(?生体の代償機構の破綻)
              [↓]
         生命の危機

つまり、甲状腺ホルモンの作用が強くなりすぎて命の危険にある状態なんですね。

よく言われている症状は次のようなものが出ます。
 1。不穏、せん妄、傾眠などの中神経症状
 2.発熱(≧38℃)
 3.頻脈(≧130回/分)
 4.心不全症状
 5.嘔吐、下痢、黄疸(Bil>3mg/dl)などの消化器症状

このような症状が出ているときには甲状腺機能を疑い検査をしていくんですね。

よく心不全で入院する方にはTSH、T3、T4をとりますが、
甲状腺機能亢進を否定するためだったんですね。

次回はクリーゼの治療について書いてみたいと思います。
なかなかHRコントロール難しいんですよね。
そして、ADLの拡大の仕方も...
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