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甲状腺クリーゼ② [ICU/CCU]

前回の続きの「甲状腺クリーゼ」です。

クリーゼの治療のコンセプトは
①クリーゼのコントロールとその誘因の検索と治療
②クリーゼに伴う症状への対症療法
③各症状の鑑別診断
になるようです。

そして、その治療はそれぞれの原因、合併症に伴い次のようになるようです。
・甲状腺クリーゼそのものに対して
  ➩チアマゾ-ル(MMI)orプロプルチオウラシル(PTU)の投与
  ➩無機ヨウ素薬の投与
  ➩副腎皮質ホルモン薬の投与
・発熱
  ➩アセトアミノフェンの投与
  ➩クーリング
  ➩感染症を疑い、感染巣の検索とその治療
・中枢神経症状
  ➩精神科、神経内科へのコンサルト
・頻脈、心房細動
  ➩β1選択性のβ遮断薬の投与
  ➩ジギタリスの投与
・うっ血性心不全
  ➩KillipⅢ以上でSwan-Ganzカテーテル挿入
  ➩心不全治療(NIPPV、人工呼吸管理管理、フロセミド、硝酸薬の投与など)
   KillipⅣでカテコラミンの投与やPCPSなども考慮
・消化器症状、肝障害
  ➩PPI,H2ブロッカーなどの投与
  ➩血漿交換療法

詳細は「甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017 Digest版」参照
http://www.japanthyroid.jp/doctor/img/thyroid_storm_or_crisis.pdf


クリーゼのコントロールがつけばその他の治療にも反応するようになります。
しかし、頻脈や電解質、下痢などの消化器症状がコントロールがつかないと
栄養の改善、離床や日常生活の拡大、ICUからの退室も難しくなります。

<看護師として>
もちろん医師の許可は前提ですが、
消化吸収を改善するための整腸剤の提案や
血糖やK、水分量などに注意しながら摂取しやすい栄養剤の提供。
HR、症状、体重が測定できればその変化をモニタリングしながら
軽度の負荷からリハビリを行い、可能な行動範囲を見極めていく必要があります。

多臓器への波及する障害のため、他職種、他科に積極的に相談し、
整えていきたいですね。
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甲状腺クリーゼ① [ICU/CCU]

心不全の患者さんを看ていると甲状腺クリーゼを基礎疾患として
入院してくる方がいます。

もちろん、心不全管理をやっていくのですが、
心不全管理に合わせて、甲状腺クリーゼの治療も並行して行っていきます。

しかし、循環器をメインにやってきたものとしては
ホルモンの疾患である甲状腺クリーゼをしっかりと把握できていないため、
簡単におさらいをしていきたいと思います。

◎甲状腺
 前頸部に位置する臓器。右葉と左葉からなり輪状軟骨部位で狭部で結合。
 甲状腺ホルモン(T3,T4)を放出する。
 甲状腺ホルモンはTSH(甲状腺刺激ホルモン)により合成分泌を促進される。

甲状腺の部位 名称入り 1.jpg

視床下部 下垂体前葉 甲状腺.jpg

◎甲状腺ホルモンの作用
 ①熱産生:ほとんどの組織(脾、リンパ節、脳、睾丸、子宮、下垂体前葉以外)で酸素消費量が増加
 ②成長/成熟:正常な発育に必須
 ③自律神経:βアドレナリン受容体の増加
 ④タンパク質代謝
 ⑤糖代謝:消化器での党の吸収を促進
 ⑥脂質代謝:機能低下でコレステロール、中性脂肪の上昇
 ⑦水・電解質代謝:ANPの分泌を促進
 ⑧心臓脈管系:陽性変力作用、陽性変時作用の増強。末梢血管抵抗の減少
 ⑨皮膚への作用
(標準生理学 第6版より)

このような甲状腺ホルモンを放出する甲状腺ですが、甲状腺クリーゼになるとは一体どういうことなのでしょうか。

◎甲状腺クリーゼ
・定義はこのように↓なっています
 甲状腺基礎疾患(未治療orコントロール不良)+何らかのストレス
              [↓]
 甲状腺ホルモン作用過剰+複数臓器の機能不全(?生体の代償機構の破綻)
              [↓]
         生命の危機

つまり、甲状腺ホルモンの作用が強くなりすぎて命の危険にある状態なんですね。

よく言われている症状は次のようなものが出ます。
 1。不穏、せん妄、傾眠などの中神経症状
 2.発熱(≧38℃)
 3.頻脈(≧130回/分)
 4.心不全症状
 5.嘔吐、下痢、黄疸(Bil>3mg/dl)などの消化器症状

このような症状が出ているときには甲状腺機能を疑い検査をしていくんですね。

よく心不全で入院する方にはTSH、T3、T4をとりますが、
甲状腺機能亢進を否定するためだったんですね。

次回はクリーゼの治療について書いてみたいと思います。
なかなかHRコントロール難しいんですよね。
そして、ADLの拡大の仕方も...
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電子たばこは大丈夫? [予防]

最近流行の電子タバコ

私の周りでも電子タバコにするひとが増えていて、
匂いも煙も少なくなったと評判はいいようです。

確かに職場でも以前よりタバコの匂いをさせる人が
減ってきていると思います。

では健康面ではどうなのでしょうか?

厚生科学審議会のたばこの健康影響評価専門委員会、
「電子たばこの健康影響評価について」の資料の中には(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000086477.html
電子タバコのアルデヒド類のリスク評価についての資料があります。

資料では紙巻きタバコに比べると、暴露濃度は低くはなっているようですが、
「ホルムアルデヒド」G1、「アクロレイン」G3、「グリオキサール」G3、
「メチルグリオキサール」G3などの暴露は高いようです。

なかでも「ホルムアルデヒド」は国際がん研究機関(IARC)G1と発がん性があることが
認められています。さらに新たな発がん性物質に変化させるも指摘されています。

加えて、受動喫煙に対しても、目に見えないエアロゾルの発生も指摘されており、
周囲の人へも無害とはいえません。

また、日本呼吸器学会でも電子タバコの使用は使用者にも周囲にも悪影響のリスクがあるとの
見解を出しています。(file:///C:/Users/yusuk/Downloads/hikanetsu_kenkai.pdf)

◎看護師として
病棟、外来で出会う方々は「電子に変えたから大丈夫だよ」と
言われる方が増えていますが、一部暴露物質は減っているものの、
依然高いもの、新たな化合物への暴露、不十分なデータもあるため
決して勧められないことを根拠を示しながら伝えていきたいですね。

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インフルエンザと定点 [かんせん]

インフルエンザの定点が東京都で7.79(http://survey.tokyo-eiken.go.jp/epidinfo/weeklygender.do)となりました。
まだ警報レベルではないとはいえ、すでにうちでも私以外かかってしまい、インフルエンザと年越しとなりました。

さて、毎年この時期になると「定点を超えたから感染予防をしっかりやろう!」と、
院内でお触れがでて、みんな頑張るわけですが、いざ「定点って何?」て聞かれると
首をかしげるスタッフも多くいます。

そういう私もよくわからなかったので調べてみました。

1981年から全国で行われている調査、感染症発生動態調査がもとになっています。
インフルエンザは感染症発生の動態調査で把握する対象疾患(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/survey/sikkan/)の一つであり、定点把握対象疾患になります。

○インフルエンザの定点
定点把握対象疾患であるインフルエンザは患者が多く、全数を把握する必要がないとされています。しかし、流行しているかどうかの把握は必要ですので、指定した医療機関(指定届出機関:定点医療機関443カ所)がインフルエンザだと診断した場合、保健所へ報告し保健所単位でその数を集計します。ある保健所管内での定点医療機関からの報告された患者の総数を報告した定点医療機関の数で割った値が定点となります。

 定点=保健所管内で報告された患者数/報告した定点利用期間数

そして、「定点≧10」で注意報、「定点≧30」で警報となり、「定点<10」で終息となります。

しかし、これはある保健所管内ののみの話になるのですが、もう少し大きな地域ではどうでしょうか
例えば東京都での流行となると、複数区の保健所で注意報が出た場合、その複数区の人口の総数が東京都の人口の総数の30%以上となった場合に、東京都の注意報となります。

 警報=(警報を出した複数区の人口の合計/東京都の人口)>30%

○インフルエンザの警報発生
大きな流行が発生または継続しつつあることが疑われる状態です。
流行発生警報と注意報の2種類があり、警報では「大きな流行が発生、継続しつつあることが疑われ」、注意報では流行前と流行の後で意味が変わって、「流行前で今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があり、流行後で流行が終息していない可能性がある」そうです。

国立感染症研究所では(https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-map.html)が流行マップを出していますし、東京都のインフルエンザの定点は東京都感染症情報センター(http://survey.tokyo-eiken.go.jp/epidinfo/weeklygender.do
が公表していますので、興味がある方はぜひ見てみてください。

インフルエンザはまだまだこれからですので、その予防のためにも、しっかり休息をとり、マスク、手洗い、うがいを心がけましょう!
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